寺報と今月の言葉


今月の言葉

【あるく】
私を見ていて下さる
人があり
私を照らしてくださる
人があるので
私はくじけずに
こんにちをあるく
  (榎本栄一 師)

 


寺報 平成29年9月発行

【縁起(えんぎ)の教え】 
 ある研修会の質疑応答で、ある男性の方が、
 「家を離れたときは仕方がないけれど、私は生まれて六十年間、毎朝毎晩、お内仏         

  で『正信偈(しょうしんげ)』をお勤めしていますが、しかしこれは何のためにお       

  勤めするのですか。どんなご利益があるんでしょうか」
と質問されまして、私はびっくりしました。
 「あなたはわけもわからずに、お勤めしていたんですか」と尋ねましたら、
 「そうです習慣になっていたものですから」
 「今朝もお勤めしてきたんですか」
 「そうです」
 「どうしてお勤めできたのでしょうか」
と私が尋ねると、質問の意味がよくわからなかったようで、キョトンとしているものですから、
 「目が開いたからでしょ」
と言いますと、そしたら、その方はパーンと膝を叩いて、
 「わかりました。もったいないことをお聞きしました。ありがとうございました」
といって、頭を下げたのです。
 目が開いたということは、命をいただいたということです。いただいたらお礼をしないといけないのです。近所の人に物をもらったらお礼をするのに、命をいただいたのに知らん顔ではいけません。命が自分のものならお礼をしなくてもよいでしょうが、いただいたものならお礼をしなくてはいけません。では、なぜお参りできないのか。「私が」で生きているからです。だから、命は私のものだということになっていく、どうしてお礼をしないといけないんだということになっているから、なかなかお参りができないのです。
 そうなってくると、朝晩のお参りも頼みごとのお参りでないことがわかってきます。頼みごとのお参りは、「私」がまずあって、いいものだけ来てほしい、悪いものは来てほしくないと願うお参りです。そうではないのです。すべてはご縁でできているのです。すべてはいただきものでしたというところに立つならば、朝目が覚めたのも、私が目を開けたのではない。目を開けるための、無量無数といってよいほどのご縁をいただいたのである。ご縁のままに生かされるということです。この基本を押さえると、すべてが明らかになってくるのです。

                                       (小川一乗 師)


カレンダーの言葉 9月

《お浄土の宝と飾りは救いのすがた》

【備諸珍宝性 具足妙荘厳】

 この二句は荘厳種々事功徳成就と名づく。仏本なんがゆゑぞこの荘厳を起したまへる。ある国土を見そなはすに、泥土をもつて宮の飾りとなし、木石をもつて華観となす。あるいは金を彫り玉を鏤(ちりば)むも意願充たず。あるいは営みて百千を備ふれば、つぶさに辛苦を受く。これをもってのゆゑに大悲心を興したまへり。

「願はくはわれ成仏せんに、かならず珍宝具足し、厳麗自然にして有余にあひ忘れ、おのづから仏道を得しめん」と。この荘厳の事、たとひ毘首羯磨(びしゅかつま・インドの建築を司る神)が工(たくみ)、妙絶と称すとも、思を積み想を竭(つく)すとも、あによく取りて図(はか)らんや。
「性」とは本の義なり。能生すでに浄し、所生いづくんぞ不浄を得ん。ゆゑに『経』(維摩経)にのたまはく、「その心浄きに随ひてすなはち仏土浄し」と。このゆゑに「備諸珍宝性 具足妙荘厳」といへり。

 

 ここでは私たちの置かれている社会の環境が表されています。人間存在にとって
最も大事な事柄が「泥土をもつて宮の飾りとなし、木石をもつて華観となす」
というように粗末な泥や石、木によって出来ている、その反面必要の無いところに
金や玉をちりばめた見かけ倒しのものが置かれるが、「金を彫り玉を鏤むも意願充たず」
とありますように本来の私たちの願いを充たさないのです。それどころかそれらの環境を完備するためにいろいろな努力が重ねられるがちぐはぐなままで「つぶさに辛苦を受く」苦しみを受けざるを得ないのです。
 そこで仏は大悲心を起こして「願はくはわれ成仏せんに、かならず珍宝具足し、厳麗自然にして有余にあひ忘れ、おのづから仏道を得しめん」という願いを起こされたのです。仏は私たちが努力して変われないことをご存じなので「心に従い意に称う」私たちに寄り添うというあり方で、苦悩を超えていく数々の「お浄土の宝と飾り」功徳を充分に用意して涅槃寂滅の覚りに至る仏道につかせて下さるのです。
その願心が清浄ですからそれによって出来た浄土も、そこに備え付けられた宝、飾りも清浄なのです。ですから「諸の珍宝の性を具えて、妙莊厳を具足す」というのです。


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